悪夢のレーズンパニック
今日から3連休。
以前からダーの服がボロボロになってしまって新しいものを買いたいと思っていたので、本日家族総出で買い物に出かけた。
なにしろダーが日本に来てから十数年、一度も服を買っていなくて、イギリスから持ってきた服をずーっとこの十数年着続けていたのだ。
なのでどれも皆もうボロボロ。
家にいる時はいいけどこれではお出かけしたり誰かと会ったりするのにあまりに恥ずかしいので、奮発して何着か買うことにしたのだ。
しかし、この楽しいお買い物がのちに一変して信じられない悪夢を迎えようとは・・・
この時の私とダーには一片も予想だにしなかった・・・

服を買うと言ってもこの田舎町にそんなお洒落な店があるはずもなく、オギノやユニクロなど適当に覗きつつダーのサイズに合うものを物色していった。
ダーは手と足が長いので服を探すのがすごく大変なのだ。
身頃はピッタリでも袖の長さがツンツルテンだったり、腕の長さに合わせると見頃がブカブカの超ビッグサイズだったり・・・
スリッパもそう。
ダーの足が入るサイズのスリッパもなかなか見つからないのだ。
朝からかかってあっちの店、こっちの店、と渡り歩きなんとか数枚の服とスリッパをやっと購入できた。
その間、私はあちこちのスーパーで買い物し、買ったものは車のトランクの保冷バッグに入れてチャックもしっかりしておいた。
スコはそんなこと一度もなかったのだが、モリは後部座席を飛び越え、後部のトランクまで飛んで入って、そこにある食品を総なめに食べてしまうのだ。
用心して買った食品は全て保冷バッグに入れてしっかりチャックを閉めた。
しかし、ザ・ビッグで買ったもの・・・タイマーとかテーブルタップとか・・・はまさか食べないので、そのままトランク内に置いておいた。
タイマーなどと一緒に実は一点だけ「食品」もあったのだがまさかそんなものは食べないだろうと頭から疑わなかった。
まさか、これがとんでもなく恐ろしい悲劇を招こうとは・・・

奮発してダーの服をいろいろ購入。
スリッパも何軒もまわってやっと足の入るものを発見。
この時点では二人とも、服探しに丸々一日かかって体はクタクタだったけど、良い戦利品を手中に収め気分もハッピー♪で帰途に着いたのだった。
悪夢のレーズンパニック_f0153164_1659817.jpg

で、家に入って車の荷物を家に運びながらダーが・・・
「モリスが何か食べたよ」と・・・
え?食品は全て保冷バッグに入れてあるから大丈夫なのに・・・?
ダーが取り出したパックを見て一瞬凍りついた。
レーズン(干しぶどう)・・・・・・
そうだ、ザ・ビッグでタイマーとかと一緒にレーズンも買ったのだ。
でも、まさかしっかりした袋入りのそれもレーズンなど食べないだろうと、それだけは保冷バッグに入れずにタイマーなどと一緒にそのままトランクに置いておいたのだ。
レーズンの袋はビリビリに噛み千切られ、中身は殆ど食い尽くされていた・・・
お徳用のパックだったのでレーズン200g入っていたのだが、全て食べつくしていた・・・
えー・・・せっかく買ったのにー!
馬鹿なモリス!くっそー・・・・・
とその時は頭に来て終わったのだが・・・

少したってはっと気が付いた。
レーズン、ブドウって・・・・犬には良くなかったんじゃ・・・
急いでネットで調べる。
犬にブドウやレーズンが良くない、というのは、諸外国で犬がブドウを食べて急性腎不全になって死亡した例がいくつかあるからだ。
日本でもやはりブドウを食べて急性腎不全で死亡した犬が何例かあった。
それで、犬に食べさせてはいけないもののトップの一つがブドウ・レーズンなのだ。
ブドウの何がいけないのか、農薬がいけないとかブドウの未知の成分とかいろいろ推測されているが、未だそのはっきりした原因が分かっていない。
でも明らかにブドウを食べて急性腎不全を起こした症例が何件もあるのだ。
でもブドウなんて、知らないで犬に食べさせたことのある飼い主などたくさんいるだろうし、現に先代ウェスのリンちゃんだって母が山梨のブドウ農家から買ってきたブドウを毎年お裾分けしてもらってよく食べていたがなんともなかった。
でもそれって・・・・・数粒のことだよね?
普通食べているブドウをちょこっとお裾分けしてもらうのだって、せいぜい数粒だよね?
まさか数百gのレーズンなんてあげないよね?
まして干しブドウなら同じ重さだったら生のブドウの何倍の量にもなるし。
干してあるのなら農薬とかブドウの成分などもずっと濃縮されているだろうし・・・
調べてみると、犬の体重1㎏に対して11g~30g以上食べるとアウトらしい。
モリの体重で計算したらレーズン55g~150gまでがボーダーライン。
そしてモリが食べたレーズンは200g・・・・
アウトだ・・・・・・・・・・
ブドウを食べて亡くなった犬たちの摂取量だってこれほど大量ではないだろう。
人間の体重に換算したら2キロほども食べたことになる。
人間だってそんなに大量のレーズンを食べたら何がしかの中毒なりショック状態になるかもしれない。
犬によって症状の出る子もいれば出ない子もいる、とあるけど、こんなに大量に食べたら絶対無事では済まないだろう・・・
一瞬にして頭が真っ白に・・・
すぐにダーと二人で緊急に見てもらえる獣医を探した。
生憎もう土曜の夜でどこの動物病院に電話してもつながらない。
しかも今日から3連休でずっと休みなのだ。
休み明けまで待っていたら絶対間に合わない。
普段診てもらっているこの地域の獣医に手あたり次第電話したがどこも全くつながらない。
「モリが死んでしまう・・・」
ダーも焦りながら必死でネットで探す。
でもこの辺の病院はダメだ、全く連絡がつかない。
そこでダーがネットで「24時間電話相談・動物病院サービス」というのを見つけた。
すぐに会員登録して、返送されてきたメールにある電話番号にかけた。
電話に出てくれた獣医さんはとても優しく親切で、夜間・休日でも診察してくれるこの近くの病院を探してくれた。
でもやはりこの近辺では全くない。
「長野県内だと長野市になりますが一軒ありますよ」と長野市の病院を教えてくれた。
今の時間で診察してくれるか分からないが、とにかく行ってみるしかない。
しかし・・・私はなんだかとっても不安が・・・・・・
ダーは「診てくれるかどうかわからないけどとにかく行ってみよう!急いで!」と出かける支度を始めたけど・・・
長野市って・・・ここからすごく遠いよ。
もしかしたら東京の方が近いかも・・・
それに・・・実は動物病院ってすごく診療の水準に格差があるのだ。
今までかかった病院だってよ~く調べて信頼のおける病院であることを確認してから行っているのだ。
見ず知らずの病院にモリの命を任せるのはすごく不安・・・
ダーは「今はそんなこと言っている場合ではない、早く!」と急かすが。
確かに一刻も早く処置をしないと危険な状態なのだが、なかなか不安をぬぐいきれない。
それでダメもとで、改めて緊急で受け付けてくれる全国の動物病院をネットで探してみた。
ダメだ・・・・この地域では一軒もない。
で、東京の地区を探すと・・・
さすが東京だけあって緊急・24時間受け付けの病院がたくさんある。
そのうちの一軒が目に留まった。
「日本動物医療センター」。
これって、以前テレビでやっていた、深夜に急患を受けていた動物病院だ・・・
日本でもこんな、アメリカみたいな先進の救急動物センターがあるんだ・・・と感心してみていたものだ。
見てみると24時間緊急受付OKとある。
深夜でも治療も緊急オペもしてくれるみたい。
ためしに利用した人のコメントを見ても、どれも「親切」「深夜でも快く受け入れてくれた」「今のこの子があるのは緊急で受け付けてくれたから」など評判もいい。
ここに決めた。
ダーは「ええー、東京まで!?」と躊躇したが何とか説得して行くことにした。
既に夜の10時になろうとしていたが、病院に電話をしたらこれからでも大丈夫ですよと、親切な対応に救われた。
やはりモリの体重で200gのレーズンは大変危険な状態であること、着いたらすぐに吐かせる処置や毒性を中和する点滴などの処置をするとのこと。
すぐに支度をして必要なものを車に詰め込んだ。
仮眠用の布団とか、入院になったら母の家に泊まることにして電気ストーブとか、ワンコたちのミルクとか・・・
車に荷物を詰め込んでワンコたちも詰め込んで、家を出たその途端、突然ダーの携帯からけたたましい警戒音が鳴り響いた。
「な、なにー!?」二人とも緊張の頂点にあったので、突然の禍々しい警戒音に飛び上った。
「何これ?」
「知らない、何か大きな災害が起こったらしい。何か災害があった時緊急で警戒音が鳴るんだよ」と教えてくれた。
場合が場合なので心底驚愕するやら不吉な思いでいっぱいになったが「何か分からないけど、とにかく今は急ごう!」と出発した。

高速に乗ってラジオをつけると・・・
ニュースで長野県北部で大きな地震があったニュースをやっていた。
長野県北部・・・長野市もその範疇らしい。
先ほど紹介してもらった長野市の病院にあのまま向かっていたら・・・
大変なことになっていたかもしれない。
ニュースでは道も通行できない状態らしい・・・
途中で災害に巻き込まれモリの命もどうなっていたか・・・
二人とも血の気が引いた・・・
「まさか・・・こんなタイミングで・・・・」
「信じられない・・・」
「長野に向かわなくてよかった・・・」
何が何だか頭の中混乱マックスだったがともかく東京へと車を飛ばした。
あ、ちなみにモリの様子はというと・・・
スコと団子になって転げまわっている。(笑)

病院に着いたのが夜中の12時を少し回った頃。
これもすごいことなのだが、この病院は初台のインターのすぐそばだったのだ。
住所は渋谷区なので始めは「えー、渋谷区?どうしよう・・・全然分からないよ・・・」と二人でおののいた。
常に車があふれてグチャグチャに入り組んでいる渋谷に突入するなんて、二度と出られない蟻地獄に突っ込むようなものだ、勿論カーナビなどないし。
しかし地図で探してみたらなんと、初台インターを降りたらすぐそばの、すごく分かりやすい場所だった。
中央高速・首都高一本で行けたのだ。
この時点で私は「モリ、助かるかも」と光明が見えてきた。
モリは病院に着くまで何度か車中で吐いた。
その吐瀉物を全てかき集めて先生に渡しすぐに診療に入った。

医療センターの中。
悪夢のレーズンパニック_f0153164_1659345.jpg

心配と緊張で結果を待つダー。
悪夢のレーズンパニック_f0153164_1659094.jpg

車中でもかなり吐いたが、薬で更に吐かせた。
処置してくれた獣医さんが言うには、今まで吐いたレーズンの重さを測ったら、食べたもののほとんどを吐いたもよう。
採血して検査をしたが、今のところ腎臓の異常は見つからないとのこと。
この後は点滴して毒を中和する処置。

しばらくして点滴が終わり何事もなかったような顔したモリが現れた。
食べたレーズンは多分殆ど吐いて出た、腎臓も今は異常はないが、油断はできないので数日は様子を見ること。
などいろいろアドヴァイスをもらう。
で・・・「いい子ですねぇ」。
ここでも言われてしまった・・・大人しくてよく言うことを聞くらしい。
二人して「いい子!?どこが!?悪魔です!」と言いたかった・・・。
無事に処置も終わり会計を済ませて、この時点で夜中の3時。
はあああーーーー・・・・づがれだ~~~・・・・
とにかく無事でよかったーーー!
私たちも疲れたが、徹夜で診療してくれた親切な獣医さんや看護師さん、本当に本当にありがたかった!
日本にもこんな素晴らしい動物病院があるのだー!

取りあえずは助かった!と思ったら急にすごい空腹が・・・
近くのコンビニで長崎ちゃんぽんとか杏仁デザートとか買って夜中の3時にバクバク食いまくった。(笑)
しかし・・・このたびユキチ様が何名も私の元を旅立たれたのであった・・・・(涙)

二人ともフラフラだったがとにかく再び高速に乗ってなんとか談合坂SAまで辿り着き、そこで持ってきた布団にくるまって数時間仮眠をとった。
しばらく寝た後、夜が明けてきたので車を出し家に向かった。
うちに着いたのが朝の8時。
もう限界、二人とも泥のように泥睡。
そして・・・起きたのが昼過ぎ。
「なんか・・・今日がいつなのか、昨日は何だったのか・・・分からないね」
「今朝?帰って来たんだよね・・・?」
「うん。あれは・・・昨夜のは・・・夢?いや、悪夢・・・・・・」
それからまた二人は何が何だか分からないうちに再び泥睡に陥ったのであった・・・

夕方やっと起きて洗濯したら・・・
モリの吐瀉物をくるんだ毛布を洗ったら、まだ数粒のレーズンが・・・
悪夢のレーズンパニック_f0153164_1658553.jpg

もうしばらくはレーズン見ると目まいがしそう・・・・
レーズン見たくない・・・・
はあ・・・悪夢のようなレーズンパニックであった・・・・・
Top▲ | by sukomama | 2014-11-23 16:54
<< 悲しきウェス弁 | ページトップ | 今日もあれこれ >>
"basic photo wt" Skin
by Animal Skin